PickUP Project 03 サービス付き高齢者向け住宅「ひばりが丘94号棟」

UR都市機構が所有する、築年数の長い建物の有効活用を目的としたルネッサンス計画※の1プロジェクトとして、サービス付き高齢者向け住宅「ひばりが丘94号棟」の設計を担当。単純に建て替えるのではなく、既存躯体を活かしながら、一般住居から介護・医療施設を併設した施設にリノベーションすることが企画設計の課題でした。

※「ルネッサンス計画」とは
持続可能なまちづくりという観点から、既存の住宅をできるだけ長期間活用することが求められるようになってきています。UR都市機構としては、既存住棟を有効に活用するための実験的な試みを、ルネッサンス計画として位置づけ、ハード、ソフト両面での再生手法を検討することとしています。
くわしくはUR都市機構ホームページへ→ http://www.ur-net.go.jp/rd/rn1/plan/

ルネッサンス計画1住棟単位での改修技術の開発(ひばりが丘C棟)

階段室型住棟のバリアフリー化や、現代の生活にふさわしい内装・設備への改修、景観にも配慮したファサードの形成等に関する改修技術の開発。解体予定の住棟を活用した実証試験など、ハード面での住棟再生手法を検討しました。

ルネッサンス計画2住棟ルネッサンス事業(ひばりが丘94号棟)

民間事業者の創意工夫を活かし、UR賃貸住宅とは異なる多様な住宅や子育て・高齢者施設等として再生・活用することで団地や周辺地域の魅力向上を図ることを目的とした事業で、ソフト面での住棟の新たな再生手法を検討しました。

  1. 現地調査、耐震診断

    現地調査、設計図書の確認を行い、改めて構造計算(耐震診断等も含む)による既存建物の構造安全性の検証を行いました。

  2. 棟活用手法検討

    プロポーザルの提案を元に、詳細な設計を行いました。

    住居の改修後にどういった事業に用いるかを検討し、サービス付き高齢者向け住宅に決定しました。

  3. 事業者募集

    企画設計前に、実際にサービス付き高齢者向け住宅の運営を行う事業者を募集し、決定。

  4. サ高住改修設計

    UR都市機構、運営事業者とともに協議を重ねながら改修設計を進めていきました。

  5. 工事

    バリアフリー化等に注力した設計プランを元に、工事監理として工事に立ち会いました。

  6. 竣工

    2014年9月、竣工。10月に開設しました。

リノベーションやコンバージョンの場合、現地調査・既存設計図書の確認を行い、改めて構造計算(耐震診断等も含む)により、建物の構造安全性の検証を行うことが重要です。構造上の安定を確保しながら、ストック改修を行うことで新しい付加価値をつけていくことは、新築とはまた違う難しさがあります。
今案件は、比較的戸当たり面積の小さい既存ストック(階段室型集合住宅)をサ高住へと転換し、新たな居住ニーズを開拓する取組のひとつとなります。

UR都市機構のルネッサンス計画では構造設計として当初より関わり、様々な実証試験等を行ってきましたが、「ひばりが丘94号棟」はむしろ構造設計の出番が少ない住棟改修となりました。既存ストックの構造安全性確認は入念に行いつつ、躯体改修範囲を最小限としています。躯体改造にかかる費用を抑え、住戸内の全面改修とバリアフリー化を実施し、居住される方が快適に過ごせる場の提供に力を入れています。

実証試験とは違い、実際にサービス付き高齢者向け住宅として事業を行うストック改修であるため、コストはシビアで厳しいものでした。施主(UR都市機構)や、サ高住事業者からの要望に対しては、知恵と工夫により予算の範囲内で満足していただける設計を実施出来たと思います。

居住されている方々からは、住宅専用部分や共用部分はじめ、団地内の広い空間や環境など、総合的に満足頂いています。なお、平成27年9月1日時点で満室となりました。

発注者 独立行政法人 都市再生機構
所在地 東京都西東京市
敷地面積 1,188.14m² 構造 壁式鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造
建築面積 206.90m² 階数・高さ 4F 11.535m
延床面積 712.90m² 住戸専用面積 25.29m²/1K:8戸、34.29m²/1DK:8戸
3タイプ
  • 01|PickUP Project 東日本大震災復興関連業務01|PickUP Project 東日本大震災復興関連業務
  • 02|PickUP Project そあ希の花保育園02|PickUP Project そあ希の花保育園
  • 03|PickUP Project ひばりヶ丘94号棟03|PickUP Project ひばりヶ丘94号棟